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竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
配信日:2019/01/06 09:00

種牡馬の「進化」◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
昨年の年明けは、ロードカナロアとオルフェーヴルが種牡馬としてどのような「成功」を収めるのか展望していた。ロードカナロアは昨年大ブレイク、牝馬三冠を達成してジャパンCを驚愕のレコードで制したアーモンドアイを送り出した。牡馬もステルヴィオがマイルCSを制覇、両馬ともに春から大きく進化した姿を見せてくれた。

春までの両馬はともに器用なタイプではなく、自分のペースで追走して末脚を爆発させるレースぶり。マイルだと後方からの競馬になり、距離が延びてペースが落ち着くと追走が楽になって位置取りも自然と上がっていた。それぞれの秋初戦を見てもそのイメージはあまり変わらなかったが、2戦目で両馬ともに夏を越しての進化を見せてくれた。

ステルヴィオのマイルCSとアーモンドアイのジャパンCはともに1枠1番、後手を踏めばインで詰まったり一旦下げてから外に持ち出さなくてはいけない枠順。どうするかと見ていたら、両馬ともに3番手のインをスイスイと追走して全くロスのない競馬で勝って見せたのである。器用さというか道中の追走能力が格段に上がっていて、鞍上の思うような競馬の組み立てができる馬に進化していたのである。

ロードカナロアの祖父キングマンボも父キングカメハメハも、種牡馬としては芝ダート兼用でしかも距離の融通も利くタイプ。勝ち上がり率も高く、それでいて牡牝両方に大物が出るというのは種牡馬として非の打ち所がない。配合的にはミスタープロスペクター系でノーザンダンサーを3本内包しつつ、ヘイルトゥリーズンを持たないので今の日本では配合上も極めて有利。

成功種牡馬には2種類あって、ひとつはコマーシャルな成功を収めるタイプ。勝ち上がり率が高くて、自身の「ミニチュア」大量生産できるタイプとも言える。一方でサイアーラインを繋いでいく成功種牡馬は、自身を超える存在を生み出す力を持っている。配合された牝馬との相乗効果で、距離を克服したりコース(芝ダート)適性を開拓したりする種牡馬がそれに当たる。コマーシャルにも成功する種牡馬が多いが、中には一子相伝でサイアーラインを繋ぐ種牡馬もいる。

ステルヴィオもアーモンドアイも、決してロードカナロアのミニチュアではない。それはすなわち、ロードカナロアがコマーシャルな面だけでなくサイアーラインを繋ぐ資格を持った大種牡馬であることの証明でもある。アーモンドアイがジャパンCでマークした二四2分20秒6という時計は、サラブレッドの進化が新たなステージに至ったことを示すものであった。

ホーリックスとオグリキャップが死闘を演じた2分22秒2、アルカセットの2分22秒1に続いてまたもジャパンCで日本のチャンピオンコース東京二四のレコードが更新された。過去15年で外国馬のメンツが寂しくなったけれど、ジャパンCの値打ちは決して下がったわけではない。

◆竹内康光【馬よ草原に向かって嘶け】
http://bit.ly/17MDXV7

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