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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2015/05/07 16:30

民放テレビの競馬実況◆沢田準の競馬を楽しく

初めに以前に雑誌に掲載された競馬放送についての座談会の一部を紹介しよう。

テレビ中継について「俳優さんを使って6-7だの3-6だに言わせ、つまらん話をしている。その間こっちは馬のことを気にしている。見たいのは馬の歩きっぷりとかで、それも少しは見せるが、もっと長い時間見たかったな。」

「もっと馬好きの人間の気持ちを考え、番組を作ってもらいたい。」「その日の出走馬の調教状態とか、転厩馬、休み明けの馬とかが出た場合に、調教師・騎手の話を聞いてきて紹介するとか、もっと実質のある話が欲しい。俳優さんのあとにいきなりゲートがくる。」

これが現在の放送についてでないことは想像がつくが、近年の競馬放送について批判されている内容に通ずるところがある。現在でも下見所や返し馬での馬の状態をもっと写してほしいという要求が伝えられることがあるのだ。

しかしこれは昭和46年5月号の「優駿」に掲載されたものだ。実に40年以上も前なのである。引用した発言は作家の古山高麗雄氏である。当時は関東ではテレビ放送は日曜日のフジテレビだけ。ラジオは短波放送とラジオ関東という時代だ。

現在とはことなりグリーンチャンネルもU局もなく、当時のフジテレビ放送がそれほど批判されるような内容ではなかったと記憶しているが、それでもこのような評価があったのである。

この座談会には山野浩一氏も参加しており、古山氏に次いで次のように発言している。

「パドックから競馬がたどる、一つの退屈な時間がある。普通にみると何もない。が、それは競馬の一つだ。それを中継するのが、真実の報道なんだ。結局その辺が競馬放送に対し、バラエティショーと考えるか、スポーツ中継と考えるのが、問題になる」

これに対しフジテレビからの出席者からの発言が続くがこれが非常に興味深いのである。

「基本的には、スポーツ中継とは考えていない。スポーツショー的なものと考えています。いわゆる他のスポーツ中継とは、区別している」

競馬中継の初期のころのもののほうがファンには満足してもらえたと思うが、それに対し視聴者からおもしろくない、退屈だ、という投書がずいぶんきた、ということなのである。

昭和45年といえばハイセイコーによる第一次競馬ブームの前で競馬ファンは非常に少なかった時代であり、現在とはファンの事情は異なっていただろう。

しかし競馬中継をスポーツ中継とは考えていないということは、テレビ局の基本的な考え方として現在でも変わっていないのではないかと思われる。

そうであれば現在の民放局の競馬中継番組の作り方にも納得がいくのである。

私は東京在住であり民放ではフジテレビとテレビ東京、BSイレブンとtvkなどの競馬中継(芸人のTIMがMCを行っている番組)、そしてグリーンチャンネルを交互に見ている。

グリーンチャンネルはいうまでもなく馬中心、BSイレブンはMCが芸人でありグリーンチャンネルとは異なるが競馬記者の予想が入るなどやはり馬が中心だ。一方民放の両局はまさにスポーツショーである。

フジテレビはAKBのタレントが使われ、評論家としての井崎氏がいるが井崎氏はタレントと見たほうがよさそうだ。テレビ東京は芸人の二人が大活躍で、最近は騎手や解説者まで巻き込んでいる始末だ。


◆沢田準【競馬を楽しく】
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