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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2015/08/28 18:00

能力試験◆沢田準の競馬を楽しく

競馬専門週刊誌ギャロップに「新競馬維新八策」と題して河村清明氏が競馬にかかわる諸問題を提案し、JRAなどの関係者に質問するというコラムがある。

どこかで聞いたような表題だが、これは河村氏が名付けたものではなく、もともとはギャロップ誌の記者が書いていたものを河村氏が引き継いだものだ。

「新」となっているのはそのためだろう。

先日のこのコラムで、河村氏が一つの提案をしていた。地方競馬では能力試験が行われている。これを拡大できないだろうかというのである。

能力試験とは地方競馬独特のシステムで、新馬のデビュー前にレースと同じ形で試走を行うものだ。競走能力があまりに低い馬をレースに出走させないための試験である。

長期休養明けの馬や他地区から転厩してきた馬に対しても同様の試走を行い、これは調教試験とも呼ばれる。これもレースに出走して大丈夫かを確認するものだ。

転厩馬でもレース間隔が詰まっている馬の場合は調教試験が免除される場合もある。

能力試験はすでに地方競馬で行われているのであり、この拡大となれば中央競馬でも実施したらどうだろうということである。

河村氏によるこの提案は単に地方競馬で行っているから中央でも実施をということではなく、各馬のフットワーク、特に発馬の上手下手をファンに確認できるようにということのようだ。

しかし能力試験(能試)の目的は、発馬や馬のフットワークではなく、どのくらいの時計で走ることができるかがほとんどである。

決められた距離を何秒で走ったか、一緒に走った馬にどのような差をつけたか、またはつけられたかを知ること、ファンに伝えることが能試の意味なのである。

それでは地方競馬ではなぜ能試が必要なのだろうか。それは中央と地方との調教の質量の大きな差である。

手元に先日の門別競馬の予想紙がある。中央の新馬に相当するフレッシュチャレンジ競走も行われたが、このレースの調教欄を見ると調教本数の少ない馬が多いのに驚く。

2週前に1本、直前に1本だけという馬もいる。これ門別だけではない。地方競馬では調教本数が少ないのが当たり前なのである。

中央の場合ではこのようなことはない。専門紙を見れば新馬では調教を何本も積んでいることがわかる。このように調教量が豊富なら能力の比較をすることが容易で、記者の印を信用できるのである。

しかし地方では調教量が少ない馬が大いため力の比較ができない。これを補うために能試が行われるのである。

また地方競馬の場合は競馬場本場あるいはトレセンに集中して厩舎があり、調教もほとんどの馬が同じトラックで行われる。このため能試は簡単に行うことができる。

しかし中央ではトレセンの調教で使われるトラックはダートやウッド、ポリトラック、坂路など種類が多い。またウッドやポリトラックなどはトラックの幅が狭く能試を行うに向かない。坂路など問題外である。

能試のためにダートを使ってくれといっても調教師は困るのではないだろうか。

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