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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2015/09/25 16:30

競馬四季報◆沢田準の競馬を楽しく

サラブレッド血統センター発行の競馬四季報秋号が発売されさっそく購入した。A5版で2000ページ。ずっしりと重い。

ネットで情報を収集しているファンとは全くの対極にある本であり、そのようなファンは手に取って見た事もないだろうと思われる。

現在どれだけ売れているのだろうか。他の分野と同じく、競馬にしても活字メディアは退潮の傾向は変わらず、四季報のような特殊なものがいつまで続くのだろうかと心配になるのである。

もっとも特殊だからこそ一定の需要があるのかもしれない。なにしろ中央競馬所属全馬のデビューからの全成績が掲載されているという優れものなのである。

私のこれまでの競馬ファン生活は四季報と共にあったといえる。四季報の創刊号は1972年春号。私が社会人になったのが1年後の1983年だ。手元にはもちろん創刊号から揃っているが、初期の号はバックナンバーで購入した記憶がある。

もちろん現在のようなネットなどない時代。競走馬の成績は当日の専門紙、あるいは競馬週刊誌(特別登録馬のみ)によるしかなかった。それも近走の数レースだけである。

競馬を本格的に始めた時には四季報がすでに存在していた私には、それ以前のファンがどうしていたのか、さぞかし不便だったと思われる。

四季報は創刊当時は関東馬だけをカバーしていた。当時はクラシックなどの主要レース以外では関西馬が関東に遠征してくることはなく、関西のオープン馬は掲載されていたから、関東のファンにとっては不便はなかった。

関西のファンは置いておかれたが、まだ関西版を出すほどは当時の血統センターに余力はなかったのだろう。

四季報の刊行を検討した血統センターの白井透氏はどのような形式にするか考えた結果、専門紙の成績欄である柱の中の情報を一行に並べることを思いついたということだ。

さて四季報はどのように使うか。もちろん第一は馬券の予想だ。新聞には直近の数レースの成績しか載っていない。2歳馬や3歳馬ならこれでも充分かもしれない。

しかし古馬では以前には好調だったり格上で好走実績があったが、その後不調になった馬が少なくない。その馬が調子を取り戻すことも多い。

それは近走の成績だけではわからないのである。このような馬は人気は高くないが、もともと実力があるだけに狙い目なのだ。

このような各馬のキャリアはもちろんネットで調べることもできる。しかし紙メディア、この場合は四季報は調べるのがネットでアクセスするよりも便利だと思う。

各馬の成績は一度見てから他馬の成績を調べ、また前の馬の成績を見るなど繰り返しが多い。四季報ならしおりを使うなどこのような場合に対応が容易だ。ネットではどうだろうか。

さて四季報には別の使い方がある。ページをパラパラとめくりながらいろいろな馬の成績を見ていくことだ。ネットサーフィンならぬ馬サーフィンといったところだ。

馬のキャリアは単純ではない。地方からの転厩馬、いったん地方に移った後帰ってきた馬、2歳時にはオープンにいたがクラスが下がってしまった、長期休養を繰り返す馬、かつてはクラシックにも乗った馬などなど。

このような馬サーフィンはネットではありえない。ネットでの検索はその馬を調べるという目的が明確の場合に限られるからだ。

かつて岩手県競馬の情報誌テシオの増刊が発行されたことがある。岩手版四季報ともいうべきもので、その年に岩手県競馬で出走した全馬の初出走からの全成績を収めたものである。

岩手となるとそこにいる馬のキャリアは中央に比べてはるかに波乱に富んでいる。元中央馬、各地方競馬を転戦してきた馬、実にさまざまだ。ページをめくっていて全く面白かったのである。

血統センターの四季報は1982年に関西版が発行され、次いで2002年には全国版で統一された。東西の交流が当たり前になった現在では実に便利である。

四季報は重いから競馬場に携行するには向かないが、私は今や自宅でテレビ観戦、PAT購入という状態である。もちろん机の上には四季報が用意されているのである。

◆沢田準【競馬を楽しく】
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