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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2015/12/18 14:00

香港国際の結果◆沢田準の競馬を楽しく

日本から過去最大の10頭が挑んだ香港国際レースでは、出走した3レースのうちカップとマイルを制した。

ロードカナロアのスプリント連勝以外は勝てない年が続き、昨年は9頭が4レースに出走しながら2頭の3着が最上位とやや不満といえる成績だったが今年は2勝という好成績を収めたのである。

しかし昨年はドバイで2勝、オーストラリアでも2勝と、日本馬は香港以外では世界各地で活躍していた。

一方今年は日本馬は目立った活躍がなく、世界では今年の日本の馬は弱いのではないかと言われていたのである。

そうはいってもリアリインパクトがオーストラリアで1勝しているのだが、今や日本馬は一つ勝ったくらいでは評価されない時代となった。それだけ日本馬の実力が認められるようになったということだろう。

勝利したモーリスとエイシンヒカリ、いずれも立派なものだが特にモーリスは日本馬の優秀さを証明したのである。

相手はエイブルフレンド、国際レートは世界4位の125、芝のマイルでは世界1位、ヨーロッパナンバー1のソローの124を抑えた本当のマイルチャンピオンである。

モーリスは日本のマイルG1を連勝し日本の紛れもないマイルチャンピオンだがまだ世界の舞台ではその力は未知数だった。モーリスの国際レートは119、この対決は今年の香港での最大の見どころだったのである。

レースでは両頭はお互いにマークするように中団で先後する位置を進み直線は外を並んで追い込む。一旦はエイブルフレンドが出たように見えたが最後はモーリスが伸び、エイブルフレンドは伸びきれず3着だった。

現在のように国際レースが増加すると同じG1といってもその重要度は当然異なる。また出走する馬のレベルでも差ができる。G1といってもその価値には上下があるのだ。

腕のいい調教師はレースレベルが比較的低く、あるいは相手があまり強くなさそうなレースを選び自分の馬を勝たせる。そうして顧客である馬主の馬の価値を高めるのである。

今年の香港マイル、世界のマイルのレート最上位のエイブルフレンドに対し、まだ世界レベルでの対戦がなくレートは低いがここが試金石のモーリス、今年の香港ではマイルが最も注目されるレースだった。

そしてモーリスが勝った。次回の国際レートでどのような数値が与えられるか興味深い。そして今年のJRA年度代表馬は有馬記念でどの馬が勝ったとしても、モーリスで決まりだろう。

ところで香港国際の4レース、総賞金はカップが最も高く2500万香港ドル、マイルが2300万とこの両レースが高く、一方スプリントは1850万、そしてヴァースは1650万と最も低い。

香港の馬はスプリンターやマイラーが強いということもあるが、チャンピオンディスタンスといわれる2400メートルという距離は、現在では必ずしも最重要とは言えなくなっているような感もある。

ところでカップのエイシンヒカリ、単勝の配当が30数倍と日本のレースでは考えられない配当となったことが話題となったようだ。

これを見て日本で今年の香港カップの馬券を売っていたら、その単勝馬券、さらにヌーヴォレコルトも2着と好走したのであり、連勝ならさらに高配当を手にできたはずと思ったファンは多いに違いない。

しかしこれは誤りだ。日本で売る馬券は日本での売り上げで配当を計算する。香港で売れた馬券とは無関係なのだ。

日本で外国のレースの馬券を売るといっても、外国の馬券を売るのではない、外国のレースの馬券をJRAがJRAのシステムの中で売るのである。

そして外国の馬の情報は非常に少ない。従って香港カップの馬券を日本で売った場合、騎手も考慮してヌーヴォレコルトが1番人気、エイシンヒカリ、ステファノス、サトノアラジンが2~4番人気となったと予測される。

デザインズオンロームもフリーイーグルもブレイジングスピードもクライテリオンも、一応の成績データは供給されるにしてもどの程度の馬なのか実のところはわからない。馬券を買う根拠を得られないのである。

凱旋門賞などで日本の馬が好走したとき、外国のレースの馬券を買いたいというファンの声が高くなり、競馬法改訂にたどり着いた。

しかし外国のレースの馬券を買うといっても、ほとんどのファンは外国の、たとえばフランスの馬券を日本で買うことを思い描いていたのだろう。日本馬の馬券を買って応援したいと言われたことがそれを証明している。

しかし外国の馬券を日本で買うことなどできないことは少し考えれば考え着くはずだ。香港のように外国のレースの馬券を売っている国や地域は多い。

JRAのレースの馬券もそのような地域では売られている。しかし外国で売られた馬券がJRAの馬券と合わせて配当を計算しているわけではなく、それぞれの発売している国や組織で独自に計算しているのである。

そのことは自明のことであったにもかかわらず、説明されることはなく競馬法改定まで行ってしまった。どうにも不思議に思えるのである。



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