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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2016/08/12 14:30

インフレレーティング◆沢田準の競馬を楽しく

週刊競馬ブックで連載されているファーストクロップサイアーのルーラーシップの紹介で(今週号)面白い表現を見つけた。

「国内における最終形は希代のブロンズコレクターだったが、香港馬のインフレに乗じた印象もあるレーティングは結果として終始見込まれ続けた潜在能力と釣り合いが取れている。」というものだ。

サラブレッド血統センターの藤井正弘氏の筆にによるものだが、私が注目したのは「香港馬のインフレに乗じた印象もあるレーティング」という記述である。

ブロンズコレクターとあるようにルーラーシップは5歳の秋は天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念とG1を連続して3着、結局JRAのG1を勝つことはなかった。

しかしルーラーシップはこの2012年のワールドサラブレッドランキングでは123という高い評価を得ている。このランキングは香港でのクイーンエリザベス二世カップG1を勝って得たものである。

このレースの前のレーティングは118だったがここを勝ったあとのランキングでは123が与えられ、これがルーラーシップの最終的なレーティングとなったのである。

クイーンエリザベス二世カップではレート120のカリフォルニアメモリーとトレジャービーチ、118のイリアン、117のピュアチャンピオンとサムザップなどが出走していた。

ここでルーラーシップはサムザップに3馬身3/4という大きな差をつけて快勝した。カリフォルニアメモリーは5着、トレジャービーチは9着であり、ルーラーシップに与えられた123というレートは妥当といえる。

これらの外国のレート上位馬のうちトレジャービーチは愛ダービー馬、あとの3頭は香港の馬である。

カリフォルニアメモリーの120というレートは前年の香港カップ(当時は117)を勝って得たものだが、英チャンピオンステークスを勝ってきたシリュスデゼーグルが128というレートで5着と敗れている。2着は香港のイリアン118だった。

カリフォルニアメモリーに限らないが香港の馬は自国のレースで外国馬を破ってレートを得た馬が多い。いうまでもなく自国でのレースではホームアドバンテージが大きい。

そして外国馬も香港のレースならチャンスがあると考えて出走してくる。そしてシリュスデゼーグルのようにレートの高い馬でも時には敗れるのである。

香港の馬は高いレートを得ている馬が多いだけではなく、レースそのもののレートも高い。それはそれなりのレートを持っている馬が参戦してくるので自然にレースのレートも高くなるというわけだ。

香港とは逆に日本の馬が得ているレートはエイシンヒカリのように外国のレースでその実力を証明してレートを得た馬も多くなってきた。

もちろんマカヒキのようにまだ外国でレースを行っていないのに高いレートを得ている馬がいるが、それも過去に外国で実績を上げた日本馬が続出しその実力が認められたためである。

以上のようなことから香港の馬のレートはその実力とはずれているのではないかという疑問があった。藤井氏の「香港馬のインフレ」のレーティングという表現はうまいものだと感心してしまった。





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