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沢田準【競馬を楽しく】
配信日:2018/05/18 16:00

杉本アナウンサー◆沢田準の競馬を楽しく

今年の1月から3月にかけてグリーンチャンネルで「競馬書記-語り部たちの記録」と題して、競馬のアナウンサーや記者に対するインタビューが放映された。

長岡一也、杉本清、原良馬、盛山毅、北野守、久保房郎、白川次郎、井口保子、大坪元雄、蜂谷薫の各氏である。私が競馬にのめり込んだ時期に第一線で活躍していた懐かしい方々だ。

この中でラジオのアナウンサーが多いことが現在のファンにとっては意外なのではないだろうか。短波の北野氏、白川氏、KBS京都の久保氏、ラジオ関東の井口氏、毎日放送の蜂谷氏である。

テレビは地上波のみで短い時間の放送であり放送の主体はラジオだった。東京競馬場などではラジオ関東の実況放送をそのまま流していたりしていたのである。

東京住まいだった私はラジオ関東を聞く機会が多く、今回の企画では女性の井口氏が呼ばれたが、以前によく聞いた男性の元アナウンサーの話を聞きたかったと思ったものだ。

しかし当時アナウンサーで最も人気が高かったのはいうまでもなく関西テレビの杉本氏だ。名セリフで有名な杉本氏の実況はレコードになったりのちにはビデオも発売された。

杉本氏といえども時には馬名の呼び間違いもあるし、放送のなかでも話していたがエリモジョージが天皇賞で勝った時、フィニッシュの瞬間におかしな声になってしまいファンの話題になったが、レコードになった時はそこは直されていた。

ところで杉本氏の話で非常に興味深かったのは48年のタイテエムが勝った天皇賞のことだ。双眼鏡で馬群を追っていた杉本氏は勝負所で本命のタイテエムの姿を見失ったとのことだ。

そこで放送では先行集団に上がった模様ですとごまかして、ようやく最後の100メートルでタイテエムを捕まえてほっとして「無冠の貴公子に春が訪れます」という名台詞の一つとなった。

ところが翌日に杉本さんタイテエムを見失ったでしょうといわれた。びくっとしてビデオを見直したら、天皇賞でカメラの台数が多く、3コーマーからタイテエムが馬群を縫うようにして上がってくるのがアップではっきりと映っていたとのことだ。

これを見て思い出したことがある。この天皇賞でフジテレビのテレビ中継の司会をしていた俳優で馬主だった川口浩氏が、アナウンサーの方は馬を間違えたんじゃないでしょうかと解説者に言っていたのである。

テレビ画像を見ていた私はアナウンスの声をあまり聞いていなかったためか川口氏は何を言っているんだろうかと思ったのだが、今回の杉本氏の話を聞いてやっと真相がわかったのだった。なんと45年後のことである。

杉本氏はモニターを見ながらのアナウンスが有名だったが、あのアナウンスはこの天皇賞がきっかけだったそうである。





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