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青木義明【競馬一直線】
配信日:2015/06/24 15:15

キングカメハメハ産駒の配合的ポイント◆青木義明の競馬一直線

このたび「馬事通信」第774号(2015年6月15日号)より「血統表のススメ」を連載することになりました。小生の配合論を全面展開します。1回目はキングカメハメハで、次回はディープインパクト。ちなみに生産地と競馬サークルを結ぶ情報紙「馬事通信」は毎月2回発行で年間購読料は1万1315円。お申込先は下記まで。

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 現在、ディープインパクトとキングカメハメハが東西の横綱級種牡馬であることに異論をはさむ人はいないだろう。この春もディープインパクト産駒はオークスを制し、キングカメハメハ産駒は桜花賞ならびに皐月賞とダービーに勝利した。

 言うまでもなく、オークスがミッキークイーンで、桜花賞がレッツゴードンキ、そして皐月賞とダービーの2冠がドゥラメンテだ。

 しかし、同じキングカメハメハ産駒の桜花賞馬レッツゴードンキがオークスでは惨敗したのに対して皐月賞馬ドゥラメンテはダービーで距離の壁を感じさせるどころかレコードタイムで圧勝した。同じキングカメハメハの産駒ながら、競走馬としてのキャラクターは大きく異なるようだ。このことを血統的な観点から分析してみたい。競走馬の能力と特質は、父と母から受け継がれる血統によってもたらされるというのは小生の永遠のテーマだ。

 大種牡馬である父キングマンボ Kingmambo を通じてミスタープロスペクターにさかのぼれるサイアーラインのキングカメハメハは実に多彩な血統構成で織りなされている。キングカメハメハ自身はノーザンダンサー Northern Dancer4×4がメインクロスだが、父キングマンボがネティヴダンサー Native Dancer 3×5のクロスを持ち、母マンファスにノーザンダンサー3×5のクロスがある。ノーザンダンサーの母の父がネイティヴダンサーであることから、キングカメハメハはネイティヴダンサーのラインを両親からそれぞれ2本ずつ計4本、ノーザンダンサーを父から2本、母から1本の計3本を継続してクロスさせている配合馬である。その他にリボー、プリンスキロ、そしてトゥルビョンなどの芝向きの名血も内包している。このため、どこを配合的に強調するかで産駒の特徴も大きく分かれる傾向が派生する。

 桜花賞に勝ったレッツゴードンキの母マルトクはヘイルトゥリーズンHail to Reason4×5とネイティヴダンサー5×5、それからノーザンダンサーを4×5・5で有している「多重クロス馬」だ。キングカメハメハとの配合では、ネイティブダンサーの孫ミスタープロスペクター3×4をメインとするが、さらにノーザンダンサーを父から3本、母から3本の計6本継続させることになる。母の父マーベラスサンデーからサンデーサイレンスを取り込んで勝負根性や決め手を獲得してはいるが、配合的に中心軸がタフな体質ながらも単調なスピードを特徴とする米国血脈のミスタープロスペクター3×4なので「マイラー度」の高い配合馬となる。すなわち、パワーのいる阪神の桜花賞を勝つために生まれて来たような配合馬。それゆえ、気性的にも少し勝ったところがあり、体型にも伸びがない。府中2400のオークスではタメも利かず、持久力に乏しいのはやむを得ない。

 一方、皐月賞とダービーの2冠馬となったドゥラメンテ。こちらの特徴は、まず母の父が直接的にサンデーサイレンスであること。4コーナーで外に張り出し、それでいて鋭く、雄々しく2着馬を切り捨てた鋭さと勝負根性の要因だ。

 そして母アドマイヤグルーヴの血統をながめると「5代アウトクロス」のゆったりとした配合馬であり、スピード傾向を強化する「5代多重クロス」のレッツゴードンキの母とはまったく異なる特質である。また祖母エアグルーヴがトニービン×ノーザンテースト×ガーサントと芝中距離向きの欧州血脈で構成されていることも、本質を2000㍍以上とさせている要因と言える。

 更にいえば、ノーザンダンサーは母系に一つしかなく、合計で4本継続クロスにとどめていること。また、ホーンビーム Hornbeam6×5やプリンスシュヴァリエ Prince Chevalier7×7など長めの欧州血脈のクロスを獲得しているために「悠々」と府中2400で先頭に躍り出て、ダービーレコードをマークするスタミナも内包している。血統通りに配合トータルの特質が表現されたのである。ちょっと補足すれば母系のトニービンやノーザンテーストの血脈からもっと成長する余地があるのではないかと考えている。

 ところで、同じキングカメハメハ産駒でダートの一流馬ホッコータルマエも「ミスタープロスペクター3×5」のクロス馬である。しかし、マイル以上の距離にも適性を示すのはなぜだろうか。

 それは両者の母馬の血統構成の相違に基因するものだ。最大の違いはホッコータルマエの母にはノーザンダンサーが全く存在しないことである。その3本継続クロスを持つレッツゴードンキの母とは重要な相違点である。彼女の合計6本の継続クロスは正直に言えば少し過多であり、柔軟性を欠く要因となる。この点に学べば、ホッコータルマエが仮に種牡馬となったときにはノーザンダンサーのクロスを求めることが成功への近道だろうと小生は推察している。



◆青木義明の競馬一直線
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