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青木義明【競馬一直線】
配信日:2015/07/01 15:39

ディープインパクト産駒の配合的ポイント◆青木義明の競馬一直線



生産地と競馬サークルを結ぶ情報紙「馬事通信」第775号(2015年7月1日号)の小生の連載コラム「血統表のススメ」は今号で2回目。前回はキングカメハメハでしたが、今回はディープインパクトの配合論です。これを以下に転載します。ちなみに「馬事通信」は毎月2回発行で年間購読料は1万1315円。お申込みは下記まで。

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--------ディープインパクトの走る配合とは-----------


〇ヘイロー成功の影にノーザンダンサーあり

ディープインパクトは種牡馬としてなぜ大成功したのか。もちろん、ディープインパクト自身が優れた血統背景と類まれな競走能力を持っていたことが大きな要因だが、その血統構成が、現在の馬産地事情と適合していることも見逃せない。

ディープインパクト自身5代アウトクロス馬だ。したがって距離的な融通性は高い。

父サンデーサイレンスはヘイロー Halo→ヘイルトゥリーズン Hail to Reason→ターントゥ Turn-to とさかのぼれる米国血脈の濃いサイアーラインで、ここからスピードと決め手を、欧州血脈の濃い母系から底力と芝向きのスタミナとを得て三冠馬となった。

曾祖父ヘイルトゥーリーズンからはブライアンズタイムやリアルシャダイの父でもあるロベルト Roberto も出ているが、わが国でロベルト系よりもヘイロー系の方が成功している。その要因はどこにあるのだろうか。

それは世界的な大種牡馬ノーザンダンサーとヘイローが「いとこ同士」の関係にあるためだ。ノーザンダンサーを持つ繁殖牝馬にヘイロー系種牡馬を配合すれば、彼らの祖母で名牝のアルマームード Almahmoud のクロスが必然的に生じるからに他ならない。この配合的特質があればこそのサンデーサイレンスの大成功である。ディープインパクトの場合もリファール Lyphard を通じて「アルマームード(4×6)」のクロス馬を獲得しているし、サンデーサイレンスの代表産駒ハーツクライ、ステイゴールド、ダイワメジャーなども、その母系にノーザンダンサーを内包している。

一方、ウインドインハーヘアは、総じて欧州血脈の塊である。まず印象的なのはその父アルザオ Alzao の母がプリンスキロ Princequillo 4×3のクロスで芝の長めの距離への対応力を高めていること。また、祖母のハイクレアー Hightcllere がハイべりオン Hyperion 3×2、フェアトライアル Fair Trial 3×3の強いクロスを内包していること。これらはサンデーサイレンスの母系構造と呼応する血脈だが、成長力と持続的スピードを付与する一方で、強いクロス馬ゆえの気難しさも持ち合わせることになる。



〇ディープインパクトにはノーザンダンサー+α

このような血統構成を持ち、種牡馬として成功をおさめたディープインパクトだが、その代表産駒を調べ上げると一つの傾向が見て取れる。

キズナ、アユサン、ハープスターにはノーザンダンサーのクロスがあり、さらにジェンィルドンナ、スピルバーグ、あるいはディープブリランテにはノーザンダンサーの継続クロスを経てその直仔「リファール」のクロスがあること。これが明確な特徴である。つまり、ディープインパクトの血を使って優秀な産駒をつくろうと思えば、ノーザンダンサーのクロスは「必須条件」とさえいえる。

さらに探れば、ノーザンダンサーの母の父ネイティヴダンサーを継続クロスしていることも重要なポイントだ。このことによりノーザンダンサーの基幹的構成血脈のアルマームードとネイティヴダンサーとが継続クロスされるわけで、単なるノーザンダンサーのクロスではく、その構成血脈を「複合的に」継続クロスさせることの重要性を再確認することとなる。

もちろん、配合というのはトータルな視点でとらえるべきで、単純にノーザンダンサーをクロスさせればよいというわけではない。米国血脈が希薄なディープインパクトの配合相手にはノーザンダンサー以外の米国血脈、例えばヘイルトゥリーズンやバックパサーBuckpasser、ウォーアドミラル War Admiral 、メノウ Menow を取り込むことも大切なのである。



〇全兄ブラックタイドにも同じ傾向が

ところで、ディープインパクトの全兄ブラックタイドも種牡馬として頭角を現しているが、その代表産駒にも同じような傾向がみられる。キタサンブラックの母シュガーハートはノーザンダンサー4×4。祖母デイズリーがリファールの娘であることから、メインクロスはリファール4×4。マイネルフロストの母スリースノーグラスがダンジグDanzig3×3の強いクロスがあり、また母の父がグラスワンダーであることから両者間にはヘイルトゥリーズン4×5、ノーザンダンサー5×5・5が生じている。

タガノエスプレッソの場合は、母の父がノーサンダンサーを3本持つキングカメハメハであることに加えて3代母ヘバがヌレイエフNureyevであることからノーザンダンサーの5・5・7×4。テイエムイナズマは、ダンジグ産駒の母クラスターがネイティヴダンサー4×5であることからノーザンダンサー5×3をメインにネイティヴダンサーが7×5・6の形で継続される。コメートは母の父が米国血統アフリートであり、また3代母バーブスボールドがリファールの妹という血統。リファールの母グーフドGoofed5×4。また、祖母のリファールニースがニジンスキー系であることも見逃せない。

ディープインパクトも、ブラックタイドも両親から優れた血を引いて素晴らしい成功を収めているが、これを配合的に見れば、彼らの優れた血脈を強調、あるいは補強できる血統構成を持った現代の繁殖牝馬たちがいてこそなのである。



◆青木義明の競馬一直線
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