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青木義明【競馬一直線】
配信日:2015/11/25 17:49

配合診断の実例=ミスバイアモンの場合◆青木義明の競馬一直線



馬事通信(11月15日号)掲載コラムです。


[配合診断の実例=ミスバイアモンの場合]

●血統的特徴
ミスバイアモンの血統構成は父タヤスツヨシ、母クリアモン、母の父バイアモンというもので、5代血統表内にはアルマームードAlmahmoud5×5。祖母の父ノーザンネイティヴはノーザンダンサーの全弟という血統だ。

ミスバイアモン自身は中央競馬で6戦未勝利。盛岡競馬で勝馬となっているルチオアンファンの母となっている。

父のタヤスツヨシはサンデーサイレン初年度産駒で日本ダービー馬。アグネスタキオン、フジキセキなどと同じく5代アウトクロス馬で、その母系にノーザンダンサーを持たない配合パターンである。ただ、タヤスツヨシの母の母マジックMagicは味わい深く濃密な配合馬で、バックパサーBuckpasser×ベターセルフBetter Selfの関係からウォーアドミラル×ラトロワンヌの超名血をほぼ2×2でクロスされている。これはゼンノロブロイの母の父マイニングの母系にも見受けられる米国血脈ならではの特質である。この強いクロスが惹起するものはパワーと闘争心、短距離向きの爆発力と言える。母の父としてのタヤスツヨシはすでにスプリンターズステークス(GⅠ)の勝ち馬スノードラゴンや北海道スプリントカップ(JpnⅢ)優勝馬マルカフリートなどを輩出していることが、その特質を如実に物語るものだ。


●配合の方向性

ミスバイアモンは老舗のユートピア牧場ゆかりの日本古来の牝系だが、その母クリアモンがブラッシンググルームBlushing Groom 系のバイアモン、さらにノーザンダンサーの全弟ノーザンネイティヴ、そしてシカンブルSicambre系のシーフュリュー、あるいはダービー2着のイチフジイサミで知られるオンリーフォアライフと累代配合馬はなかなか味わいがある。産駒はマイル以上の距離での活躍も望めるが、母の父がタヤスツヨシなだけに基本的にはマイラー志向が本線となる。特にバックパサーと相性のいいニジンスキーを取り込むことがレベルアップの一つの方向性だ。

候補として取り上げたのは以下の3頭。順序に大きな意味はないことを付記させていただく。


●具体的な相手

〇ストロングリターン
ストロングリターンを相手にするとニジンスキーが取り込まれる。そこからバックパサーの父トムフール、その母の父ウォーアドミラル4本継続となり基本形が整う。さらに3代母の父ノーザンネイティヴとノーザンダンサーの同血馬クロス5×4も派生し、配合論的に味わいがある。またシンボリクリスエス産駒のストロングリターンには胴伸びに効果的なプリンスキロ3本継続クロスが内包されているので単なるマイラーとさせず、粘着力と爆発力のハーモニーが期待できる。一方でハイぺりオン系でも極めてスタミナ豊富なセントクレスピンとヴィエナを通じて、その父オリオールAureole7×7のクロスが派生するので、ハイぺりオン12本の継続クロスともども早熟性を補完する。


〇バーディバーデイ
バーディパーティはブライアンズタイム産駒としてダートのマイル路線で活躍した。その母がミスタープロスペクター2×4の強いクロスを持ち、バックパサーもニジンスキーも内包するからなおさらダート向きとなる。ただ、配合を味わい深くさせているのがグロースタークGraustarkとヒズマジェスティHis Majesty3×4の同血馬クロスの存在だ。今日的にこのリボーの血脈は競走能力向上に効果的で、サンデーサイレンス産駒で言えばマンハッタンカフェやダンスインザダークがこれを内包する。ミスバイアモンにとってはこの同血馬クロスを異系血脈として取り込むことで体質強化に役立つ。そしてバックパサー5×5、ヘイルトゥーリーズン4×5のクロスから弾力性豊かなマイラーが期待できる。


〇アーネストリー
アーネストリーはグラスワンダー×トニービン×ノーザンテーストと芝向きの中距離血脈で構成されるが、リポーとプリンスシュヴァリエの近似クロスがあることは見落とせない。メインクロスはヘイルトゥーリーズンとノーザンダンサー=ノーザンネイティヴの5代内3本継続クロスだが、その周縁をグレイソヴリンGrey Sovereign7×6、オンリーフォアライフOnly for Life6×6、プリンスビオPrince Bio7×7、さらにフェアトライアルFail Trial6本継続クロスなど芝向きの血脈がぐるりと取り囲む。結果的に欧米血脈の混淆がバランスよく果たされ、柔軟な芝向きのマイラーとして期待できる。



◆青木義明の競馬一直線
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