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青木義明【競馬一直線】
配信日:2016/05/24 17:15

こうなると第三の血脈が極めて重要だ◆青木義明の競馬一直線


今年のダービーの登録馬をながめて気付くのはディープインパクト産駒とキングカメハメハ産駒の多さだ。確かにこの2頭の産駒は走るし、先週のオークスでもこの2頭の産駒でワンツースリーだったから、種付け数が増えるのは分からないでもない。頭数が多ければ走る馬も出てくる。

問題は長期的な視野に立った時の血統環境だ。ディープの肌にキンカメを配合し、またはキンカメの肌にディープあるいは「ディープ系」を交配する。この流れはわが国ではしばらく止められないだろう。

だが、そこまではいいとしよう。しかし、問題はその次の世代だ。この2頭の血脈を持つ牝馬または種牡馬は、次は何か別な血脈を対象化しなければならない。そこから「第三の血脈」が重要になってくる。血統的に大切な、次の一手だ。



歴史的に見れば、ネアルコとハイべりオンの「セントサイモン色」の濃かったニアークティックに、米国土着の異系血脈ネイティヴダンサーを父とするナタルマを配合して大種牡馬ノーザンダンサーが誕生したことは有意義な着目点と言える。

また、最近の例ではノーザンダンサー系の名種牡馬サドラーズウェルズの代表産駒の1頭である Galileo ガリレオの場合も参考になる。すなわち、米国血脈ミスタープロスペクター×バックパサーのミスワキを父とし、一方でアルキミスト Alchimist 4×4のドイツ血脈を内包する名牝アーバンシー Urban Sea との組み合わせである。ガリレオもやはり「異系血脈」をうまく取り込んだ配合馬だ。



こうした例に習うならば、今日的に「第三の血脈」たりうる種牡馬あるいは父系ラインは何か。

小生の判断ではエーピーインディ系(子のプルピットや孫のタピット)が第一に挙げられる。念のため、ラニはタピットの産駒である。

次に、タピットの母と同じインリアリティ In Realty 4×3のクロスを内包するエンパイアメーカー系が第二候補。しかし、まだ2000年生まれと若いため、その後継馬はバトルラインくらいしか光が当たっていないので、小生は西山牧場さんの繁殖ニシノシルエット(アグネスタキオン×カーリアン)に交配してこの春に牡馬の誕生を見た。それで、以前に「後継種牡馬」候補としてご紹介したが、ぜひ無事に育ってほしい。

そして、第三の存在としてはガリレオの母アーバンシーに学んで重厚なドイツ血脈をクロスするモンズン Monsun のラインにも注目できる。代表馬はノヴェリストだが、これは今年2歳になるサウンドオブハードの牡馬や、当歳牝馬のニシノナースコールらに小生は配合してきた。



このように「ディープインパクトとキングカメハメハ」の配合馬に何が好ましい血脈となるか、いわば第三の男(女)が歴史的に求められているのである。



なお、今年の米国クラシック馬を輩出して人気沸騰中のアンクルモ Uncle Mo は父系ラインこそカロ Caro の系統だが、すでに5代内にノーザンダンサー3本クロスを抱えるのでさほど魅力的ではない。

ただし、ニジンスキーやサドラーズウェルズやリファール、あるいはヌレイエフらの主流ラインではいない、いわば傍流のノーザンダンサー血脈なので、それなりの存在感は示しうるとは言える。それでも「ディープインパクトとキングカメハメハ」の配合馬にとってアンクルモはエーピーインディ系やエンパイアメーカー系あるいはモンズン系とは価値が下回ると見ていいだろう。



◆青木義明の競馬一直線
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